最近のAIの最先端といえば、パッと思いつくのはOpenAIのChatGPTですが、現在のその最強モデルが「o1」です。
o1からはGPTという名称が付かなくなりました。GPTはGenerative Pre-trained Transformerの略で、これまでは訓練だったものが、o1は訓練を終えたという思いが込められているのでしょうか。
そんな最強AIのo1に対抗すべく、Googleより「Gemini 2.0 Flash Thinking」が発表されました。
o1 Proの対抗となるGemini 2.0 Flash Thinking
OpenAI o1 Proは月額200ドルと競合より飛びぬけた性能を誇示するかのように、強気な価格設定となっています。
使用するコンピューティングパワーが相当大きいことから、価格を高めにしてユーザーが急増しないような狙いがあるのかもしれません。
メインターゲットはビジネス用途でしょうから月額200ドル程度でしたら、それほど高額ということもありません。
そんな中、Googleが発表した「Gemini 2.0 Flash Thinking」は、o1に匹敵する性能を備えていながら無料で公開されました。
まだ、制限はいろいろあるものの、徐々に開放されていくと思われます。
特徴はAIの思考プロセスが人間にも分かるように開示されることです。今後AIを活用するうえでAIの思考プロセスは重要な要素となるでしょう。Googleのこのアプローチは面白いなと思います。
さらにOpenAIはo3へ進化する
o1 Proがようやく一般にも使えるようになってきたなと感じていたところに、OpenAIはさらにo3という最新モデルを発表しました。
現時点では開発者向けにテストが行われている段階ですが、2025年1月下旬にも一般公開される予定とのことです。
AIでは難しかった分野にも対応するとのことです。
Googleの生成AIへの本気にOpenAIがどう先行するのか
5年ほど前はAIといえばGoogleの独壇場でしたが、現在はOpenAIがAIの代名詞的なポジションにいます。
とはいえ、現在の生成AIの基礎となる技術、Transformerは2017年にGoogleが発表した深層学習モデルです。
OpenAIのGPTもTransformerのおかげで、より大きなデータでトレーニングができるようになりました。
現在Transformerを開発した研究者はGoogleを退職したようですが、これまでもその時代のキーとなるIT技術の多くがGoogleから生まれていることを考えると、次のAIのブレークするーとなる基礎技術がGoogleから登場する可能性は高いです。
ここ数年はGoogleが巨大すぎることから、小回りが利かず生成AI開発に乗り遅れている感がありましたが、「Gemini 2.0 Flash Thinking」の登場で、再度AIの最先端に帰ってきそうな予感がします。
そんな本気のGoogleにOpenAIが先行できるのか?今後も楽しみです。
AIの社会浸透にはGoogleに一日の長
OpenAIの技術発表を12日連続で行う、「12Days of OpenAI」が公開されました。
さきほど少し触れましたが、最終日には最新モデルo3が発表されました。
OpenAIのアプローチは賢いモデルを作ることに特化していて、社会に浸透させる取り組みに関しては、マイクロソフトなど他社に任せているような印象があります。
OpenAIの会社規模ではそこまで手が回らないということかもしません。
AIの社会浸透という点ではGoogleに一日の長がありそうです。「Gemini 2.0 Flash Thinking」によるAIの思考の見える化は、企業でAIを使う場合のキーとなる技術となりそうです。
こういった技術を先に実装するあたり、Googleはよく分かっているなと感じます。
企業で生成AIを使う場合、回答内容に一定の間違いが含まれてしまう、ハルシネエーションが厄介です。
趣味で利用している分には、少しの間違いは許容できますが、企業で利用する場合は大きなリスクになる恐れがあります。そのため、人間の目で間違いが無いかチェック・修正することが必要ですが、AIがどのように思考して回答したのか分からないと総当たりでチェックが必要になります。
Googleのアプローチはそういった問題の対策にもなりそうです。
賢いAIを作りつつ社会にどう浸透させるのか。両方のアプローチができることが、今後のAI競争のポイントになりそうです。