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経済エンタメ小説「エアー3.0」で現代社会の闇を理解する

経済

現在の世界情勢、おもにアジア地域情勢について勉強にもなる、「エアー3.0」が面白かったです。

ぜひ読んでいただきたいので、ネタバレ無しで可能な範囲で紹介したいと思います。

しかし、ラストだけが少し残念で、もう少し想定を上回る意外な展開を期待していましたが、総じて主人公の中谷の次の一手がどうなる?という感じで一気読みしてしまいました。

エアー3.0のあらすじ(公式より)

エアー3.0は2024年9月25日に発売された小説です。現代社会が部隊となっている経済エンターテイメント小説です。

以下公式より抜粋。

劣化した資本主義をバージョンアップせよ!

「荒唐無稽な話ではない。18世紀の英仏で同様のマネー創出が行われている。世界経済をどう立て直すか、お金とは何か。二つを同時に考えさせてくれる画期的エンターテイメントだ」

経済アナリスト・森永卓郎氏も激賞の一気読み経済エンタメ小説!

市場の空気までも読み取り、莫大なマネーを生み出す人工知能「エアー」。世界の金融市場で独り勝ちするエアーのマネーを資金に、中谷祐貴率いる財団法人「まほろば」は、福島の帰還困難区域に同名の特別自治区を建設する。

中谷たちは稼いだマネーをデジタル通貨「カンロ」に変えると、「まほろば自治区」で還流させ始める。そして、成長が鈍化する日本各地にまほろば自治区を出現させ、国外にもカンロ経済圏を開拓し始める。

政府の高級官僚からまほろばに転籍した市川みどりと福田義雄は、密かにエアーの未来に危惧を抱いていた。ひとつにはカンロ経済圏の開拓が性急すぎるから。もうひとつには、エアーの認証権が与えられているのは、中谷1人であるからだ。

そんなとき、中谷は「資本主義をやり直す」という言葉を残し、単身、日本を後にする。舞台はカナダ、中国、そしてロシアへ。中谷の目的とは――?

実際の地域や社会情勢をモチーフに、人工知能エアーとデジタル通貨「カンロ」、財団法人まほろばというフィクションをうまく絡めて物語が作られています。

現代の日本の立ち位置や中国、ロシアとの関係性などにも踏み込んでおり、地政学を学ぶキッカケになるかもしれません。

OpenAIサム・アルトマンの理想を深く理解できるかも

エアー3.0を読んで思い出したのが、生成AI「ChatGPT」を運営するOpenAの代表Iサム・アルトマンが追い求めている、AIで得た収益を暗号資産「World」により、ベーシックインカムとして最低限の生活費をすべての人々に提供する。というものです。

これにより経済的安定と社会的公正を実現するという理想を掲げています。

エアー3.0の主人公、中谷の考え方に非常に近いなと感じました。今の経済状況や格差社会による閉塞感を打ち破るには、まったく新しい考え方を取り入れることが必要不可欠ということかもしれません。

そうなると、既得権益で豊かな暮らしをしている人たちの反発は必至で、そういった人たちが動かしている世界において、理想の実現には多くの壁があります。

エアー3.0を読むとそういった闇の部分も垣間見えてきます。

参考書で勉強するよりも、物語を通じて理解する

世界情勢について知りたいと、地政学の参考書などを読むのも大切ですが、エアー3.0のような物語を通じて、楽しく自然に学ぶのも有効です。

三国志や戦国時代などにやたら詳しい人なども、物語を通じて理解を深めたのでしょう。

若手社員の方におすすめしている、「会計の世界史」も物語を通じて会計の仕組みについて理解を深めるのに非常に良い本です。

社会人になると会計のことも多少は理解しておく必要があります。参考書での勉強はかなりつらいですから、こういった本から入ると興味が沸いてくるはずです。

最後に

社会に影響を与えはじめた仮想通貨カンロを巡り、世界各国の思惑とは裏腹に自由な動きを見せる中谷。

彼の行動が理解できない社会とは、お金や歴史、宗教など作られた幻想に縛られ、人間らしさを失ってしまったことの証拠かもしれません。

エアー3.0を読まれた方はそこで終わらず、これをキッカケに世界情勢についていろいろ調べてみるのも良いと思います。

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