ネタバレ有りなので未プレイの方は戻って
2022年7月28日発売のメタ科学アドベンチャー「アノニマスコード」をプレイし、ネタバレ無しで感想を先日お伝えしました。
今回はアノニマスコードとシュタインズゲートのネタバレも多少含みますので、両作品を未プレイの方は読まずに戻ってください。
アノニマスコードが「買い」かどうかについては、小説を読むように進めるノベル形式のアドベンチャーゲームが好きな方には、おすすめできるかと思います。神ゲーとまではいかず名作レベルだと評価した点については、以前に上で書いた感想から変わりありません。
以下は発売日に公開されたローンチトレーラーですが、いきなり「この世界はデジタルだ」とシナリオの核心に触れる部分を言っちゃってますので、制作側も世界の真実については、それほど隠すべき部分だとは思っていないのだとローンチトレーラーを観て感じました。
ではこのゲーム最大のウリはなんだったのでしょうか?そのあたりを発売から1週間経過しましたので、ネタバレ含めての感想を書きたいと思います。
メタ科学アドベンチャーが重要だったのか?
アノニマスコードは、ストーリー中のさまざまな困難を科学の力で解決をはかっていくのですが、しかし、世界自体がシミュレートされたデジタルの世界であると分かり、一週目のラスト付近ではアスマは人智を超えた力を振るいます。このあたりがメタ科学の所以なのかなと思いました。サクラメントなんて完全に超常現象です。
しかし、そこが重要だったのか?と問われると「ん~~」と唸ってしまいます。結局なにが作品の最重要ポイントだったのかがボケてる感じがしました。終わった後も結局そこは分からず。私の考察が足りないのかな?
ボリュームは体感でシュタゲの3分の1ぐらい
これはネタバレ無しの方でも書きましたが、科学アドベンチャーシリーズの代表作「シュタインズゲート」と比較して、体感で3分の1ぐらいのボリュームに感じました。
正直もう1段階なにか仕掛けがあるんじゃないか?と思ったところで終わっちゃう感じです。シュタゲほどの神がかった感じはないので、プレイ前に期待値を上げすぎないように注意が必要です。
ボリューム不足感の原因は、シュタインズゲートのようにプレイヤーの行動により、様々なシナリオに突入する形式ではない点も原因かと思います。
アノニマスコードはプレイヤーの行動により、成功か失敗かの分岐のみでマルチシナリオ展開にはなりません。個性的なキャラクターが多く、もっと各キャラクターの事を知りたいのに、脇役ポジションのまま終わってしまいます。私的にはオズとノンノやサイバーフォースドールの3人の話しはもっと見たかったです。
あと敵方のエージェント、特にフェリーノ・アルカナが味方側に来るシナリオなんかあると良かったですね。
シナリオは何回か紆余曲折あったんじゃないだろうか
シナリオに関してはSF作品の中では目新しさはなく、自分たちの世界が虚構の世界だった。的なものです。映画マトリックスのような感じです。
物語の始めの方からそのようなシナリオになりそうな感じは出ていましたので、最後にひっくり返るような仕掛けが何かあるんじゃないかと思っていましたが、シナリオの面ではそこからの意外な展開はありませんでした。
そのままだと販売的に厳しいと感じたのか、人気作シュタインズゲートのヒロイン牧瀬 紅莉栖(アマデウス内)が登場したり、事前情報でシュタゲとの絡みを匂わしたりといった感じのプロモ展開でしたが、フタを開けるとシナリオ的な絡みはありませんでした。とはいえ、シュタゲとの絡みがそれほど無かったのは、私的には良かったなと感じています。たとえば終盤ポロンのピンチにオカリンが登場して、良いところを奪っていったら拍子抜けしたでしょうし、アノニマスコードでのシュタゲとの絡み具合は良かったのではないでしょうか。
アノニマスコードは発表から7年経過してようやく発売に至りました。これは勝手な想像ですが、発表当時に想定していたシナリオから紆余曲折があって、今のシナリオに落ち着いたのではないかなと思いました。
たとえばこの7年間ですと、私が強烈にハマったSF小説「三体」が2017年ヒューゴー賞を受賞し世界的話題になりました。三体が話題になった最中にSF作品を執筆、もしくは制作していた場合、多くの作品で方向性の見直しが生じたのではないでしょうか。それほど三体で描かれた世界は独創的で、その後に出るSF作品はどうしてもアイデアがどこか似ているですとか、もしくは三体は超えられないといった評価をされそうで怖いです。
それだけに、シナリオ以外の部分はもう少し丁寧に作る必要があったのではないかなと思います。
モモとの時間をもう少し描いて欲しかった
アノニマスコードのラストへ向かう進行はシュタインズゲートと流れが似ています。一週目は世界は救えるものの、ヒロインであるモモは犠牲となり、世界から消えてしまいます。
そうならないために過去に戻り、二週目で全員が救われる世界を目指します。
このあたりシュタインズゲートに通ずるのですが、モモとの時間があまり語られていないせいか、シュタインズゲートのオカリンとクリスほど共感できませんでした。シュタインズゲートのままでは芸が無いので、仕方ないのかもしれませんが、もう少しアノニマスコードらしさが欲しいところでした。
最後の最後までポロンとモモは恋人関係まではいかず、友達のまま終わったという感じです。世界を犠牲にする危険を犯してまで、二週目にチャレンジする動機もちょっと薄い感じです。
今後のスピンオフ作品狙いでボリューム抑えたなら厳しいかも
あまりにも各キャラクターのサイドストーリーが語られなかったため、最初からスピンオフ作品狙いで情報を小出しにしようとしているのかな?と感じたぐらいです。
しかし、シュタインズゲートのスピンオフ作品群が成功したのは、本編の成功ありきですから、アノニマスコードに関してはスピンオフ作品を出しても厳しいかなと思います。
完全版はあるかもしれませんが、その場合は本編購入者は追加料金だけで遊べるようにして欲しいです。再度フルプライスで購入させられるのは勘弁して欲しいので、よろしくお願いします。
アノニマスコードのアニメ化はあるかな?
これまでの科学アドベンチャー系の作品はアニメ化されていますので、アノニマスコードもアニメ化されそうな気がします。ゲームの評価はイマイチだったロボティクスノーツもアニメにはなっていますし。
アニメ化に際しては、ゲーム内では語られなかった部分をオリジナル要素として入れて欲しいですね。ゲームを補完するような感じの作品だったら嬉しいです。ゲームシナリオ後のアフターストーリーを充実させてくれたら評価高いですね。
不満点もいろいろ書いたけど楽しめたよ
ネタバレ無しの感想の時も書きましたが、気になる点はあるものの良ゲー評価で私は楽しめました。ボリューム不足気味なので、コストパフォーマンス重視でゲームを選ぶ人にはおすすめできない作品です。
本作品に期待していただけに不満点をいろいろ書きましたが、今後なんらか補足や追加要素があるならそれは楽しみにしたいなと思います。