MSの専用機およびPSプラスのサービス拡充でクラウドゲーミング躍進なるか?
ゲームを遊ぶにはPCやゲーム機、スマホが必要ですが、インターネット上のサーバーでゲームを起動する「クラウドゲーミング」なら、映像を受信する機器があればどこでもゲームをプレイ出来る。ということで、専用のゲーム機や高性能PCは不要になるのではないか?といったことが言われはじめて数年経ちますが、いまだにゲーム機も高性能PCも健在です。逆にクラウドゲーミングの市場は一定以上には広がらずといった状況です。
しかし、2022年はもしかするとクラウドゲーミングが躍進するかもしれません。
いまだに泣かず飛ばずのGoogle「STADIA」
クラウドゲーミングが本格化するのではないか。と大きな期待を持つきっかけになったのが、Googleが2019年に開始した「STADIA」でした。STADIAはChrome(クローム)ブラウザがインストールされた機器ならば、ゲームをプレイすることが可能ですので、PCだけではなくスマートフォンやタブレットでも同様に遊べます。
しかし、サービス開始から数年たった現在でもユーザー数はそれほど伸びず。また、プレイ可能地域も限定的なうえ遊べるゲームタイトルも期待ほど充実していません。
開始当初はSTADIAでGoogleが運営するYoutubeなどの各種サービスとの連携を強みに、他サービスでは真似できないような遊びを提供しようという計画もありましたが、そういった動きも全く無く。残念ですが、STADIAはこのまま消えると思われます。
クラウドゲーミングはいろいろ難しい
これまでに登場したクラウドゲーミングサービスは数年で終了したり、または一定以上に普及できず細々と運営しているようなものばかりです。
ドラクエやFFで有名なスクウェアエニックスも過去にクラウドゲーミング「DIVEIN」を開始しましたが、長くは続かず終了しています。
クラウドゲーミングの難しい点は常時5Mbps程度の、安定した通信をしている必要があるというところだと思います。今のご時世「5Mbpsぐらいの速度は余裕だろ」と思うかもしれませんが、常時この速度で通信するというのはなかなかに厳しいものです。動画や音楽配信の場合は一方通行ですし、バッファ(本体メモリにデータを溜めておく)しておけば通信速度が一時的に下がっても途切れることなく再生できます。ゲームの場合はプレイヤーの操作を即時に反映させなければならないため、通信速度が下がると即ゲームプレイに影響します。サーバー負荷も動画や音楽配信サービスに比べると、クラウドゲーミングの方がかなり高くなります。GoogleのSTADIAが地域限定なのも、通信品質やサーバー設備などの影響が大きかったのではないでしょうか。
マイクロソフトとソニーが動く
結局のところ今でもクラウドゲーミングを安定的に提供しているのが、ゲーム機市場でも活躍しているマイクロソフトとソニーです。
そのマイクロソフトとソニーがクラウドゲーミングに新たな戦略を持ち込むということで、2022年はクラウドゲーミング元年と言える年になるかもしれません。
マイクロソフトはクラウドゲーミングが遊べるXBOX Cloud Gaming拡充のために、クラウドゲーミング専用デバイスの発売を計画しているようです。PCを持っていなくてもテレビに接続するだけで数百タイトルのゲームが遊べるのは魅力的です。
一方ソニーはサブスクリプションサービスの「PSストア」の料金体系変更を実施し、これまで「PSNow」として提供していたクラウドゲーミングサービスを統合します。これによりクラウドゲーミングサービスかどうか、ユーザーはあまり意識せずにプレイ出来るようになりそうです。ただしクラウドゲーミングで遊ぶには、最上級プランの「PlayStationPlus プレミアム」への加入が必要です。月額1,550円と比較的高額ですので、どのようなタイトルが遊べるのかが気になるところです。マイクロソフトの最上級プランULTIMATEは月額1,100円ですのでかなり安い印象です。
クラウドゲーミングもかなり手頃になってきた
少し前まではクラウドゲーミングサービスだけで、月額2,000円超ぐらいの価格帯でしたが、今や他のサービス等と組み合わせて1,000円程度とかなりお手頃な価格になってきました。また、クラウドゲーミングと意識せずにプレイ出来るようなかたちに今後はなっていくのかなと思います。
どうしても通信によるラグは発生しますから、不向きなゲームジャンルはありますが、クラウドゲーミングで対応すべきところと、従来型のゲーム機で対応するもの、上手く住み分けしていけばゲーム人口の底上げに繋がるのではないでしょうか。
2022年がクラウドゲーミング元年になれば良いですね。