学校教育の難しさをどう解消するのか
私立和歌山南陵高校で教職員がストライキを起こすという事態が発生しています。ストライキは1ヶ月以上に及び、通う学生さんへの影響が心配されます。
学校運営は破綻しており、事業継承が行われるまでは事態は収まりそうにありません。今後、高校だけに限らず、大学や中学などでも同様に経営破綻する事業者が出てくるのではないでしょうか。
少子化に加え学校運営費は上がる
日本はますます少子化が進みますが、学校運営の負担は上がる一方です。少人数クラスが一般的になり、情報化による変化に対応しなければならないなど、教職員の負担は増えても収入は増えないという状況が続きそうです。
従来のスタイルでの学校は限界を迎え、生き残りにはこれまでの学校のスタイルを変える必要があります。
N高等学校の仕組みは少なからず取り入れる必要がある
学校法人ドワンゴが運営する、N/S高等学校は従来の学校のスタイルを変革するモデルケースとなりそうです。
従来型の教育では35人のクラスに対して、科目ごとに一人の教員が授業を教えますが、N/S高等学校では授業は収録し、学生は基本的に動画授業を受講します。ひとつの授業をより多くの生徒でシェアする形になりますから、授業にかけられるコストが段違いに高いです。教える講師も非常に優秀な方が揃っています。
対面でリアルにやりとりしながらの授業は確かに楽しい面もありますが、例えば5クラスある学校ですと数学の教師は同じ授業を5回行う必要があります。これをしっかりと1回実施し、5クラスどころか50クラス規模の生徒が学ぶというスタイルがN/S高等学校です。
現在、N/S高等学校と中等部をあわせて生徒数は2万人ということで、ひとつの学校という規模では日本最大になっています。
従来型の学校についても、一部N/S高等学校のスタイルを取り入れて、ハイブリッドスタイルの授業にするなど変革をしないと、経営はどんどん苦しくなっていくでしょう。
N高等学校は学びの機会が豊富
ひと昔前の通信制高校というと負のイメージが強いですが、N高等学校をはじめ最近の通信制高校は学びという点においては、いろいろ工夫がされており、本人の取り組み姿勢次第で通常の高校以上に成果が出せます。
N高等学校に関しては、毎日のように生徒宛にセミナーの案内が届きます。もちろん強制ではなく、生徒本人が参加を希望して受講します。なかには現役のプロの方が講師だったり、大学で行われる講義を体験出来るようなものだったりと、通常の高校では体験出来ないようなイベントが日々行われています。
ただ単位を取るということだけでは、通常の高校レベルよりもかなり低いものとなりますが、こういったN高等学校でしか出来ない体験をしっかり取りこむことが出来れば、社会に出て役立つ能力が手に入ります。
従来の高校が生徒の時間を拘束して、半強制的に実施させているものだとするならば、N高等学校は自分に必要なものを取捨選択して取り入れる。ということで、どちらのスタイルがこれからの社会に役立つかは一目瞭然ではないでしょうか。
しかし、N高等学校でも労働環境の問題はあった
学校経営の改善にはN高等学校のような、スタイルも取り入れるべきと、良い点ばかりを挙げましたが、新しいスタイルでの学校経営ということで、N高等学校は多くの生徒を少ない教員数で効率を上げて運営しています。
ということで、生徒数が激増した時期に教職員の労働環境の悪化が以前に問題になりました。その後、改善されたのかどうかは分かりませんが、新しいスタイルへの変化の中で発生した問題です。しかし、N高等学校の場合は生徒数は右肩上がりで経営状態は良いため、改善する力は充分にありました。
経営が苦しくなると改善もままなりませんから、まず経営の健全化を考えつつ、どういう教育スタイルが生徒の将来に良いものなのか。初心に帰って学校教育を再構築する必要があるのではないでしょうか。