2026年1月7日、Xserverが搭載する「守る」機能
国内レンタルサーバー大手のXserverが、2026年1月7日より「AIクローラー遮断設定」機能の提供を開始しました。
これは、管理パネル上のスイッチ一つで、ChatGPT(OpenAI)、Gemini(Google)、Claude(Anthropic)といった主要な生成AIのボット(クローラー)からのアクセスを一括で拒否できる機能です。
「勝手に自分の文章や画像を学習されたくない」というクリエイターの声に応えた形ですが、このスイッチをONにすることが、必ずしも全てのWebサイト運営者にとって正解とは限りません。
この機能を使うことによるメリットと、見落としがちなデメリットを整理し、「遮断設定を有効化すべきか否か」の判断基準を提供します。
AIクローラー遮断の「3つのメリット」
1. コンテンツの無断学習・模倣リスクの低減
最大のメリットは「著作権とオリジナリティの保護」です。
イラストレーターや小説家、独自のノウハウ記事を書いているブロガーにとって、自分の作品がAIに「学習」され、似たような作品や記事を大量生産されることは死活問題です。
この機能をONにすることで、Botなどの巡回を拒否し、「私のデータを勝手に使うな」という意思表示(robots.txt等による制御)をXserverが代行してくれます。
2. サーバーリソースの保護
AIボットは学習データを収集するために、頻繁かつ高速にサイトへアクセスしてくることがあります。
これらが集中すると、本来の読者(人間)のアクセスが遅くなったり、サーバーの転送量を圧迫したりする原因になります。不要なボットを弾くことで、サーバーの負荷を下げ、安定稼働につなげることができます。
3. コンテンツの「価値」を守る(有料化への布石)
New York Timesなどの大手メディアがそうしているように、「AIに無料で学習させるのではなく、ライセンス契約を結ばないと使わせない」というスタンスを取る場合、まずは入り口を閉じる必要があります。
個人のブログレベルですぐにライセンスビジネスになるわけではありませんが、「情報はタダではない」という姿勢を示す第一歩になります。
AIクローラー遮断の「3つのデメリット」
一方で、安易に遮断してしまうと、将来的な「露出機会」を自ら捨てることになりかねません。
1. 「AI検索」からの流入がゼロになる
これが最大のリスクです。
現在、検索の形は「Google検索」から、「AIによる回答生成(SGE、SearchGPT、Perplexity)」へとシフトしています。
AIクローラーを遮断するということは、これらの「AI検索エンジン」にあなたのサイトの情報が一切インデックスされないことを意味します。
ユーザーがAIに「〇〇について教えて」と聞いた時、あなたのサイトがどれだけ有益な情報を持っていても、回答のソースとして引用されず、リンクも貼られなくなります。
2. 「参照元リンク」という新たなトラフィック源の損失
ChatGPTやPerplexityは、回答の末尾に「参照元(ソース)」を表示します。
これからの時代、ここからの流入(リファラ)はSEOに代わる重要なトラフィック源になると予想されています。
遮断設定をONにすることは、この未来のアクセス流入経路を自ら塞ぐ行為であることを理解しておく必要があります。
3. ブランドの認知機会損失
AIがあなたのブランドや商品名を学習していなければ、ユーザーが「おすすめの〇〇は?」とAIに聞いた時に、あなたの名前が挙がることは永遠にありません。
マーケティングの観点からは、「AIに正しく学習してもらい、推奨してもらう」こと(AIO: AI Overview Optimization)が重要なのに、その逆を行くことになります。
あなたは「守りたい」のか「広めたい」のか?
結論として、この機能を使うべきかどうかは、あなたのサイトの目的によります。
- 遮断推奨(ON):
イラストレーター、写真家、小説家、会員限定サロンなど、「コンテンツそのもの」に美的・資産的価値があり、コピーされることが最大のリスクであるサイト。 - 受入推奨(OFF):
企業サイト、アフィリエイトブログ、店舗情報、ニュースメディアなど、「多くの人に知ってもらい、集客する」ことが目的のサイト。
Xserverが提供してくれたのは「選択の自由」です。
時代の変化に合わせて、自分のサイトにとって「AIは敵か味方か」を見極め、スイッチを切り替えていく運用が求められます。

