『葬送のフリーレン』の魅力は、美しい作画や奥深いストーリーだけではありません。
私たちがこの作品にこれほどまでに惹きつけられる理由の一つに、エバン・コール氏が手掛ける「音楽」の力が挙げられます。
千年を生きるエルフの悠久の旅路。それを音で表現するために選ばれたのが、古楽器やケルト・アイリッシュ民族音楽の要素でした。
どこか懐かしく、そして広大な自然を感じさせるあの独特のサウンドは、私たちの心の奥底にある「冒険への憧れ」を静かに揺さぶります。
今回は、そんな『フリーレン』の劇伴に心を奪われた方に向けて、私が日常のBGMとして強くおすすめしたいケルト・フォーク系音楽を3曲ご紹介します。
悠久の時を表現するケルティック・サウンドの魔法

なぜアイリッシュ音楽(ケルト音楽)が、『フリーレン』の世界観にこれほどまでにマッチするのでしょうか。
それは、これらの民族音楽が「自然との共生」や「時の流れ」をテーマにした土着の音だからだと私は考えています。
エバン・コール氏自身も、自身のルーツであるフォークミュージックから影響を受け、フィドルやティンホイッスルといった民族楽器を劇伴に積極的に取り入れています。
劇中で描かれる、出会いと別れ、そして何気ない旅の日常。
それらを単なるファンタジーではなく、どこかで本当にあった物語のように感じさせる「説得力」が、この音楽には宿っているのです。
1. 広大な緑の平原を思わせる「The Sea of Irish Dream」
まずおすすめしたいのが、ポーランドのケルト系バンド「Beltaine(ベルテイン)」の楽曲「The Sea of Irish Dream」です。
ゆったりとしたアコースティックの響きから始まり、徐々に壮大なスケールへと展開していく構成が秀逸です。
フリーレンたちが馬車に揺られながら、見渡す限りの草原を越えていく姿が目に浮かぶような一曲。
休日の朝、コーヒーを淹れながら聴くだけで、いつもの部屋がファンタジー世界に早変わりします。
2. 躍動感あふれる村の祝祭感「Colour Theory」
次にご紹介するのは、ナタリー・マクマスター&ドネル・リーヒによる、超絶技巧のフィドル(バイオリン)が光るナンバー「Colour Theory」です。この楽曲を含むアルバム全曲公式Youtubeで聴けます。このアルバムかなり完成度が高く、全曲めっちゃいいので、他の曲もぜひ聴いてほしいです。
『フリーレン』の作中でも、新しい街に到着した際や、賑やかな市場を歩くシーンで軽快なBGMが流れますよね。
この曲はまさに、活気あふれるファンタジー世界のパブや、村のお祭りに迷い込んだかのようなワクワク感を与えてくれます。
作業に行き詰まった時や、気分をパッと明るく切り替えたい時のBGMとして、これ以上の特効薬はありません。
3. 過ぎ去る時を慈しむモダン・フォーク「Torsa」
最後は、現代スコティッシュ・フォークの最高峰とも言われるバンド「Lau(ラウ)」の楽曲「Torsa」です。
伝統的なケルト音楽の軸を残しつつも、より前衛的で深く、どこか寂寥感を感じさせるメロディが特徴的です。
ヒンメルの死や、過去の冒険の記憶を振り返るフリーレンの「切なさ」と「優しさ」。
そんな作中のエモーショナルな瞬間を呼び起こすような、魂に響く音の重なりをぜひ体感してください。
音楽で日常という名の「旅」を彩ろう
『葬送のフリーレン』が私たちに教えてくれたのは、目的を果たすことだけが旅ではない、という真理です。
何気ない道草や、ふとした瞬間の景色にこそ、本当の美しさが隠されています。
今回ご紹介したアイリッシュ・ケルト音楽は、そんな私たちの「何気ない日常」を、かけがえのない冒険へと変えてくれる魔法のBGMです。
ぜひ、通勤電車の中や夜の散歩のお供に、これらの音楽を連れ出してみてください。

