暗号化データ学習AIで、ようやく企業でもまともに使えるようになるのか?

経済

暗号化したままのデータで学習するAI

AIにインターネット上のデータを利用し学習させることで、人間が作成するような絵やプログラムを自動で書くなどAI技術の進歩は凄まじいですが、いざ企業で利用しようとすると、情報保護などの問題から苦戦することが多いです。結局企業では使えないと判断する場面も多いのではないでしょうか。

個人で趣味の範囲で利用する場合は、インターネット上のあらゆるデータから学習させることが可能ですが、企業利用の場合は学習データが企業内のデータに限られたり、結局ほぼ人力でAIを学習させないといけない!みたいな事になることが多いです。

そんな中で注目されているのが、暗号化したままのデータで学習するAI技術です。

NICTのDeepProjectなど市場導入されているものもチラホラ

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)のサイバーセキュリティ研究所が開発したDeepProjectなど、企業で安全かつAIの利点を活かしやすくするようなソリューションの実用化が進みそうです。

過去にAI利用を検討して、諦めてしまった方も再度検討してみると要件にあったものが見つかるかもしれません。

上記のDeepProjectに関しては銀行5行と連携し、不正送金などの検知にAIを活用する検証を実施しています。開始当初は協力してもらえる銀行探しに苦労されたようですが、開始すると手を挙げる銀行も多く、5行に絞って開始したということで、こういった技術への注目度の高さが伺えます。

グローバル企業に勝つには国内連携で対応するしかない

上記銀行の不正送金検知については、より多くの学習情報があるほど正確に検知が可能なAIにすることが可能となります。地方銀行1行の情報では不可能だったことが、連携することでグローバル企業にも対抗できるかもしれません。

グローバルで決済事業を行うSquare(スクエア)は高度な不正検知技術を持っています。情報量が多いので学習データも豊富なのでしょう。こういった企業に対抗するには単独では不可能です。

暗号化データでの学習はこれまで情報保護の観点で難しかった、複数企業合同でのAI学習が可能となります。それでも情報の取り扱いや、企業規模が異なる企業間で連携する場合の、不公平感の調整など課題はありますが、うまく連携して活用できれば強力な武器になるのではないかと感じます。

不正・不具合検知AIは様々な活用が考えられる

不正や不具合をAIで検知するという仕組みは、AIの活用としては非常に有効です。建物に不審な人物が入って来たか映像で検知するですとか、最近多いオンラインによる会員申請での不正検知なども可能です。しかし、企業単独ですと非常に少ないデータで学習するため、実際に利用可能なレベルになるまでかなりの時間を要します。

複数企業で学習データを持ち寄ることで、学習時間の大幅短縮が可能になります。

現在、不正や不具合を人力でなんとか対応しているという方は、同業他社と連携した対策ということも検討してみてはいかがでしょうか。

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