先日発売されたPS5の日本語モデルは、価格が55,000円とかなり良心的な価格になりました。ニンテンドーSwitch2も日本専用のモデルがあり、こちらも5万円以下で購入可能と非常にお得です。
しかし、このお得な価格は早々に終了する可能性が非常に高いです。
最悪2万円以上の値上げもありうると思いますので、欲しいかたは2025年末のうちに購入しておきましょう。
Micron社が「Crucial」ブランドを含む個人向けメモリー終了
メモリー販売大手のMicron社が「Crucial」ブランドを含む個人向け(コンシューマー向け)メモリーおよびストレージ製品の販売を、2026年2月を目処に終了すると発表され、PCパーツ市場に大きなインパクトをもたらしています。
1. 「Crucial」ブランド製品の市場からの消失
最も直接的な影響は、自作PCユーザーや増設用メモリーとして長年親しまれてきた「Crucial」ブランドの製品が店頭からなくなることです。
- 対象製品: DDR4/DDR5メモリー、NVMe SSD、SATA SSDなど、リテール(小売)市場で販売されているCrucialブランドの全製品。
- 時期: 2026年2月末までに順次出荷が終了する予定です。
- サポート: 既存のユーザーに対する製品保証(永久保証など)やサポートは継続されると発表されています。
2. メモリー・SSD価格の高騰(実質的な値上げ)
メモリーやSSDの価格が上昇する可能性があると予測されていましたが、すでに価格上昇が始まっています。Micron撤退後は以下のような状況になるでしょう。
- 競争の激減: メモリー(DRAM)チップを製造できる主要メーカーは、世界でSamsung、SK Hynix、Micronの3社(通称:ビッグ3)による寡占状態でした。Micronが個人向け市場から撤退することで、実質的にSamsungとSK Hynixの2社による複占(デュオポリー)に近い状態となります。競争原理が働きにくくなり、価格が高止まりしやすくなります。
- 供給不足: Micronの生産ラインがAI向けのデータセンター用メモリー(HBMなど)やエンタープライズ製品へ振り向けられるため、市場全体のコンシューマー向けDRAM/NANDチップの供給総量が減る可能性があります。
3. 他社製メモリーへの波及(パーツメーカーへの影響)
Corsair、Kingston、G.Skill、ADATAといった、自社でチップを製造せず、チップメーカーから購入してモジュールを組み立てている「サードパーティメーカー」にも大きな影響が出ます。
- 調達難: これまでMicron製チップを採用していたメーカーは、代替としてSamsungやSK Hynixからチップを調達せざるを得なくなります。
- 製品の均質化: 選択肢が減ることで、どのメーカーの製品を買っても中身のチップが同じ(SamsungかSK Hynix)という状況が増え、オーバークロック耐性や相性問題などの特性で「Micronチップ搭載品」を指名買いすることができなくなります。
背景:なぜMicronは撤退するのか?
Micronは経営不振で撤退するわけではなく、「より利益率の高い分野への選択と集中」を行うためです。 現在、AIブームによりデータセンター向けの広帯域メモリー(HBM)やサーバー用SSDの需要が爆発的に伸びており、利益率も非常に高い状態です。相対的に利益率が低く、価格競争が激しい個人向け市場のリソースを、これら成長分野(AI・エンタープライズ)へ振り向けるという経営判断です。
ゲーム機やスマートフォンなど、PC以外の分野にも影響大
当然、この状況からゲーム機やスマートフォンへも大きな影響が出そうです。冒頭にも書きましたが、早々にゲーム価格の値上げが行われるでしょう。
1. ユーザーへの直接的な影響:PS5などの「増設用SSD」
これが最も分かりやすい影響です。PlayStation 5(PS5)のストレージ容量を増やす際、Crucial製のSSDは「安価で高性能、かつ信頼性が高い」ため定番の選択肢でした(例:Crucial P5 Plusなど)。
- 選択肢の減少: 2026年以降、この定番ブランドが店頭から消えるため、増設用SSDを選ぶ際にSamsungやWestern Digitalなどの他社製品を選ばざるを得なくなります。
- 価格上昇: ライバルが減ることで、増設用SSD全体の価格相場が上がります。
2. ゲーム機本体(PS5, Switch後継機など)への影響
ゲーム機の中に組み込まれているメモリー(DRAM)や保存領域(NAND)に関する影響です。これらはMicronの「個人向け(Crucial)」ではなく「法人向け(B2B)」事業ですが、無関係ではありません。
- 製造コストの上昇:
Micronは「AI向け(データセンター用)」の超高性能メモリー(HBMなど)に工場の生産能力を全振りしようとしています。その分、ゲーム機に使われる「一般的なグラフィックス用メモリー(GDDR系)」の生産優先度が下がる可能性があります。
供給量が減れば価格が上がるため、ゲーム機の製造コストが上がり、本体価格の値上げ原因になり得ます。 - 調達の変更:
任天堂やソニーは部品をMicron、Samsung、SK Hynixなど複数社から調達してリスク分散していますが、Micronからの供給が減れば、他社への依存度が高まり、価格交渉で不利になります。
まとめ:何が起きるか
「明日すぐにゲーム機が買えなくなる」ということはありませんが、中長期的には以下の流れが予想されます。
- PS5などの増設SSDが高くなる・選びにくくなる(これは確実)。
- ゲーム機の価格が下がりにくくなり、逆に値上げされる。
- スマホやタブレットも含め、メモリを多く積んだ機器全体が「高級品」化していく。
Micronの撤退は「個人向けブランドの終了」という形をとっていますが、その本質は「世界的な半導体生産能力のAIへの大移動」です。ゲーム機もその波に巻き込まれることは避けられないでしょう。
今は比較的在庫も潤沢でゲーム機の購入も容易ですので、そろそろ買おうかなと思っている方は早めに購入しましょう。

