2024年問題に対応するため考えること
長時間労働を是正するため、労働時間の上限規制が定められていますが、建設業に関しては5年の経過措置を経て2024年から規制が開始となります。当事者の建設業を営む企業の対応はもちろん、建設業へ発注している発注元や元請企業も今から対応を検討すべきです。
なにも手を打たずに2024年を迎えることで、人手不足と労働時間規制のダブルパンチでサービスに悪影響を与える可能性大です。
これまで下請企業に丸投げしていた企業も、2024年問題への対応については、一緒に対策を検討しないと解決が難しいのではないでしょうか。
品質を多少犠牲に工事時間を絞る
例えば、これまではお客様への影響等を考えて、深夜時間帯に実施していた工事を、多少品質は犠牲にしてでも日中時間帯にシフトし、労働時間を絞り込むなどの対応を考える必要があるかもしれません。
また、工事現場で「あるある」なのが、過去のトラブルの改善として実施している、数々の対応策に多大な時間を擁しており、すでに同種トラブルが発生しない体制となった後も、なんとなく対応策を実施し続けている。そういった無駄な時間について棚卸を実施し、無駄な時間を削減することなども検討すべきです。
上記のような対応は工事を請負う側の企業では改善対応が出来ないため、発注元である企業が検討し見直しをはかる必要があります。
当事者の建設業企業の対策
建設業界で働きたいという人材が減少しており、さらに労働時間規制も始まるということで、対策として柔軟な労働制度を検討すべきです。
半日だけ働くワークシェアリングなど、時間を限定した勤務形態を採用し、雇用の幅を広げることです。建設業のような技術を要する仕事で、短時間勤務は難しい面もあるかもしれませんが、そのあたりは機械化も進んでいますから、技術が未熟な方でも従事できる仕事に限定するなどの方策を考える必要がありそうです。
客側も柔軟な対応を
この労働時間規制は建設業で働く人の働き方を改善するための取り組みで、長時間労働により集中力が欠けることで作業ミスや事故が起こったりすることを防ぎます。
2024年以降、深夜から日中帯の工事が増えたり、工事期間がこれまでよりも長くかかるといったことが発生するかもしれませんが、そういったことに対して客側の立場の方も柔軟に受け止めるi必要があります。
飲食店で問題になった客のお店に対する過剰なサービス要求など、日本人は過剰なサービスを普通のことと受け取る傾向にありますが、そのような考え方では労働生産性は向上しませんし、長時間労働・低賃金からは脱却できません。
そういった負のサイクルは自分の首も絞めますから、今の時代にあった考え方にシフトしましょう。
2024年問題は結構深刻な問題ではないかと思います。法律が悪いとかそういうことではなく、この規制を皮切りに働き方の見直しに繋がれば良いと思います。現場の職人さんにシワ寄せが全部行くということが無いようにだけはして欲しいです。