人の成長は勉強や読書よりも業務経験が優先されるのか?

勉強することで経験から得られるものが大きくなる

業務が忙しいからと研修や勉強機会を逃すことについて、ある中堅社員がこのような考え方を披露していました。ロミンガーの法則では人の成長には業務経験が7割、陶酔(先輩や有識者からの助言など)が2割、勉強・読書が1割とされており、業務優先で勉強は時間がある時にすれば良いという考え方です。

本当に経験は勉強に勝るのでしょうか?

旅行に行く場合を例に勉強について考える

少し話しが逸れますが、以下の例についてどう考えますか?

旅行に行く際に「事前にその土地や歴史について入念に調べる方」と、「先入観無しに旅行したいからと何も調べず行く」という方が居られた場合、旅行で得られるものには大きな差が生じます。

当然、事前に調べてから行けば、なにげないモニュメントや建物・風景から歴史を感じることができますし、後々に鮮明な記憶として、また自身の大きな経験として残ります。

事前に全く調べずに旅行に行くと、「食べ物がおいしかった」とか、「あのイベント面白かった」、「風景が綺麗」といった受動的な印象のみで、数年後思い返してみても旅行の記憶があまり無いなといったことになります。

私は勉強や読書についても、上記と同じような事が言えるのではないかと考えます。

勉強や読書の1割が大きいほど全体の器も大きく

最初に書いた「ロミンガーの法則」は「70:20:10の法則」などとも言われていますが、この業務経験が7割、陶酔(先輩や有識者からの助言など)が2割、勉強・読書が1割という割合の数字については後付けされたものだという説もあります。しかし、仮にこの数字が正しいとして、だから勉強より業務優先というのは正しいのでしょうか。それが自身の成長には良いことなのでしょうか。

上で書いた旅行の例からも明らかなように、事前に勉強や読書で知識を得ておくことで業務から得られる経験・知識にも大きな差が生じます。上のグラフのように10年、20年後には全体の円の大きさにかなりの差が出るはずです。勉強・読書が1割というのは、あくまで割合ですから、勉強・読書の大きさ自体が小さいと業務7割や陶酔2割の部分も小さくなるのです。

資格取得は意味がない?

勉強より業務経験を優先するに近いものとして、資格は業務に役立たないから取得しないという考え方もあります。確かに資格は持っているけど実務は出来ないという方はたくさん居られます。

しかし、先ほどから書いているように、資格取得時に得た知識があれば、業務経験で得られるものが大きく変わります。経験からのみ得られる知識は偏りがある場合が多く、資格取得のための勉強により標準的(一般的)な知識を得られることも利点です。

結局勉強しない理由を探しているだけ

冒頭で書いた、ロミンガーの法則を盾に勉強を疎かにするのは、勉強をしない理由として自分の都合の良いように解釈しているだけです。

10年後、20年後に自分はどう在りたいかを見つめなおし、勉強や読書をする習慣や癖を付けることが、充実した生活を送るには大切な事だと思います。

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