Web3というワードの危険性
2022年11月8日、NTTドコモがWeb3活用を事業化するために6,000億円を今後投資すると発表し、国内でもWeb3関連が盛り上がるような兆しが見えてきました。
発表によるとブロックチェーン・ウォレット、暗号資産交換、トークン発行、セキュリティなどの基盤技術を「Web3 Enabler」として整備し、日本発のグローバルデファクトを目指すとしています。2023年には新会社を設立するとのこと。
NTTドコモなどモバイル通信各社は、新しい事業の柱を探すのに躍起になっており、NTTドコモが目を付けたのがWeb3ということになるかと思います。しかし、Web3というワードは最初の立ち上げ時だけに留め、今後はこのワードは使用しないことが成功のカギだと感じます。
事業はイメージが重要だがWeb3界隈はネガティブ
NTTドコモはWeb3に注力するらしい。このことは今回の発表で伝わったかと思います。今後事業を進めるうえで、特にグローバルなプラットフォーマーを目指すには、良いイメージを持ってもらうことが重要だと思いますが、Web3というワードがあまりにも一般には理解し難く、また関連する情報の多くがネガティブなのが心配です。
例えばNFT取引所に関しては、ポジティブな情報よりもネガティブ情報が圧倒的に多いです。ブロックチェーン・仮想通貨に関しても同様で、詐欺まがいの事件が増えるなどネガティブイメージが多くなっています。
これらがWeb3界隈の情報と直結し、NTTドコモの事業とは全く関係の無いNFTや仮想通貨のネガティブ情報と勝手に関連付けされて、「NTTドコモオワタ」や「こんなものに6,000億円も投資するとか先見の明が無い」といった情報が、ネット上に伝搬される恐れがあります。
NTTドコモはWeb3というワードを早く捨てるべき
ブロックチェーンの技術そのものは素晴らしいです。無駄にリソースを消費する点や、責任者不在で無法地帯になってしまう恐れがあるといった、技術面以外でのフォローをNTTドコモがプラットフォーマーとして責任を持つことで、面白い展開が期待できそうな気がします。
Web3というワードの負の側面に巻き込まれることによる事業自体のイメージ悪化を防ぐため、早々に事業の方向性を定め「Web3」というワードは使わずに、しっかりプロジェクト名でアピールできるように進めていくべきだと思います。
来年の今頃にも、まだNTTドコモがWeb3事業という名称で発表を行っていた場合には、残念ながらこの事業は失敗して途中退場となるのではないでしょうか。